M&Aの仲介手数料等の相場【安くするコツ紹介】計算方法や高い原因を解説

M&Aを検討する際、仲介手数料・FA手数料の相場や計算方法は非常に重要なポイントです。適切な費用を把握し、コストパフォーマンスの高いM&Aを実現するためには、手数料の仕組みを正しく理解する必要があります。
この記事では、M&A仲介手数料・FA手数料の相場や最低成功報酬金額について詳しく解説し、その理由や計算方法、さらに手数料を抑えるコツについても触れます。
また、仲介とFA(フィナンシャルアドバイザー)の違いや、手数料を安くする具体的な方法も徹底解説。
M&Aの仲介手数料・FA手数料の相場と最低成功報酬
M&A成約時の成功報酬について、一般的に、中小規模の案件におけるM&A仲介は取引金額の10%程度(買主から5%と売主から5%の合計)・FA手数料の相場は取引金額の5%程度(売主もしくは買主いずれかから5%のみ)とされております。具体的な金額は取引の規模や内容、仲介会社の方針によって異なることがあります。
いずれも、取引金額が大きくなればなるほど、取引金額に対する手数料「率」の割合が減少する「レーマン手数料方式」を採用しています。
また、大手のM&A仲介会社を中心に、取引規模に関わらず最低成功報酬を2,500万円〜2,000万円前後としております。これは、特に、小規模な取引では手数料率が高くなることを意味します。
具体的には、取引金額が3億円の場合、M&A仲介会社は10%の手数料なら3,000万円の手数料のはずですが、大手M&A仲介会社の場合は最低成功報酬が5,000万円(買主2,500万円と売主2,500万円の合計)となります。これを手数料率に換算すると、約17%となります。仮に買主の買収予算が3億円の場合、売主の受取金額(税金考慮前)は、2.5億円になります。
さらに、M&A仲介手数料には成功報酬型と固定報酬型の2つのタイプがあります。
成功報酬型は、取引が成立した場合にのみ手数料が発生します。メリットとしては、M&A仲介会社もFAも取引の成立に対するインセンティブが強いことによる推進力を期待できることです。他方、デメリットとしては、無理に取引を成立させるインセンティブも生じかねないことです。特に、大手M&A仲介会社を中心に無理に取引を成立させて事件になる事例の氷山の一角として、ルシアン事件なども報道されており、過度に「成功報酬のみ」を強調する会社は敬遠すべきです。「タダ(無料)」という謳い文句ほど胡散臭い話はない、ということです。
一方、固定報酬型は、事前に決められた金額を支払う形で、取引の成否に関わらず手数料が発生します。多くの場合、月額方式であり、顧問料やコンサルティング料に相当します。M&A仲介会社もFA会社もいずれも、固定報酬型のみ、という会社は殆ど存在しないはずで、多くの場合は、成功報酬型のみか、成功報酬型と固定報酬型を組み合わせるか、のいずれかです。固定報酬型を組み合わせるメリットとしては、無理に取引を成立させるインセンティブを減殺でき、例えば売主のみを顧客とするFAの場合、売主にとって不利な取引は中止することを進言してくれることがあります。デメリットとしては、取引の成立がしなかった場合にかかった検討にかかった費用が取り戻せないことです。
このように、M&Aの仲介手数料・FA手数料は多様な要素によって決まるため、事前にしっかりと相場を把握し、適切な仲介会社・FA会社を選ぶことが重要です。
手数料含めた総合的な経済的な合理性の観点での有利・不利については、詳細はここでは割愛しますが、ざっくりいうと、買主にはM&A仲介が有利、売主にはFAが有利となります。
なぜM&Aの仲介手数料・FA手数料は高いのか?
M&Aは非常に複雑なプロセスであり、多くの専門知識と経験が求められます。仲介業者は、企業の評価、買収候補の選定、交渉、契約書の作成など、多岐にわたる業務を担当します。
これらの業務には高度な専門性が必要であり、そのためにかかる人件費や時間が手数料に反映されるのです。
次に、M&Aの成功率が低いことも手数料が高くなる要因の一つです。多くのM&A案件は、最終的に成立しないことが多く、仲介業者は成功報酬型の料金体系を採用しているため、成功した場合にのみ手数料を得ることになります。
このため、成功するためのリスクを考慮し、手数料が高めに設定されることが一般的です。
M&A仲介とFAの違い
M&A仲介とFA(ファイナンシャルアドバイザー)は、どちらも企業の合併や買収に関与しますが、その役割や機能には明確な違いがあります。具体的にどんな違いがあるのか見ていきましょう。
まず前提として、Google検索で「M&A仲介とFAの違い」と検索すると上位20位くらいまで、全てM&A仲介会社の記事が出てきます。つまり、営業力が強くて営業予算が豊富なM&A仲介と、その真逆のFAの差が反映されています。こうした背景から、ネット上の情報の多くは中立的ではない、ということを理解すべきです。
その上で、以下、M&A仲介とFA専門会社の特徴や違いについてまとめます。
M&A仲介とは
概要:
- M&A仲介会社は、主に買い手と売り手をつなぐ役割を果たします。両者の間に立ち、中立的な立場で取引を促進します。
特徴:
- 営業力が強い会社・人材が多い
- 買い手と売り手の双方にサービスを提供し、両方から手数料を徴収します
- 多くの場合、中小規模のM&Aでは買い手と売り手の双方から5%ずつ、合計10%の手数料を徴収します
- 中立的ポジションという形式でありながら、実際には買い手に有利(売り手に不利)と言われています
- 経済産業省が公表している「中小M&Aガイドライン」では、売り手と買い手両方からフィーを取るM&A仲介業務においてリピーターになりやすい「買い手企業の利益を優先する構造等の利益相反の問題」が指摘されています
- M&A仲介会社にリピーターとしてより高い手数料を支払う買い手のみを優先し、それ以外の買い手は売り手の意向を無視して排除するトラブルが中小企業庁に報告されています
- 国際的なM&Aでは利益相反行為として忌避されていることから、国際的なM&Aには対応が困難です
FA(ファイナンシャルアドバイザー)専門会社とは
概要:
- FAは、売り手または買い手のどちらか一方に専属でアドバイスを提供する専門家です。戦略的な助言を行い、取引全体を最適化することを目的とします。
特徴:
- コンサルティング力と財務・会計・税務などの専門性が強い会社・人材が多い
- 売り手の売却価値最大化に最適、売り手FAは売り手のみから手数料を徴収
- 多くの場合、中小規模のM&Aでは売り手FAは売り手のみから5%以下の手数料を徴収
- 専属的サポート: クライアントの利益を最大化するために全力を尽くします。
- 高い専門性: 単純な取引だけでなく、複雑な取引や(会社によっては)国際的なM&Aにも対応可能です
M&Aの仲介手数料・FA手数料の計算方法
M&Aの仲介手数料・FA手数料は、取引の規模や内容によって異なるため、正確な計算方法を理解することが重要です。一般的に、仲介手数料は取引金額の一定割合として設定されることが多く、これにより手数料の総額が決まります。
具体的な計算方法には、業務の種類ごとに発生する費用の計算や、レーマン方式と呼ばれる手法が存在します。
業務の種類ごとに発生する費用の計算
M&Aの仲介手数料・FA手数料は、業務の種類によって異なる費用が異なることがあります。一般的に、M&Aのプロセスは複数のステップに分かれております。
例えば、企業価値・株式価値評価やデューデリジェンス、契約交渉、クロージングなど、各段階で専門的な知識や精査する作業と時間が必要です。
①企業価値・株式価値評価
仲介会社やFAが交渉の参考のための企業価値・株式価値評価と、買主が買収をほぼ合意もしくは検討の最終段階で買主の取締役会や株主への説明のために買主専属の会計事務所等に買収価格の妥当性を検証する目的で行う企業価値・株式価値評価と、主に2種類あります。後者については多くの場合「株式価値算定書」という形で買主が会計事務所などに手数料を支払って作成することが多いです。これは売主にも開示しないことが多いです。
②デューデリジェンス
買主としては、買収対象企業の財務状況や法的リスクを詳細に調査するため、専門家の意見や報告書作成にかかる費用が必要です。
③契約交渉
契約書の作成や条件の調整に関する手数料が発生します。これには、法律的なアドバイスや交渉のための時間が含まれ、売主・買主それぞれ別の弁護士の助言を受けるべきです。一部の大手M&A仲介会社が、取引の成立を焦るあまり、売主に対して「買主にしっかりした弁護士が助言しているので、売主として別の弁護士の助言を受ける必要が無い。」という助言をして売主が鵜呑みにしてしまった事例が複数あるようですが、買主にとっては有利ですが、売主にとっては不利で恐ろしいことです。
④クロージング
取引の最終的な手続きや資金の移動に関する手数料が発生しますが、取引全体の金額と比較すると微々たる影響であることが多いです。
このように、事前にどのようなサービスが必要かを明確にし、それに基づいて費用を計算することが重要です。
レーン方式による計算
M&Aの仲介手数料・FA手数料を計算する際に広く用いられる方法の一つが「レーマン方式」です。
この方式は、取引の規模に応じて手数料が段階的に設定されるため、透明性が高く、理解しやすいのが特徴です。
取引金額が大きくなればなるほど、手数料「率」が下がる仕組みです。
なお、M&A仲介会社は買い手・売り手両方から「レーマン方式」に則った手数料を取得する一方、FA専門会社は、売り手・買い手のいずれか一方から「レーマン方式」に則った手数料を取得する点が大きく異なります。
レーマン方式とは取引金額に応じてそれに乗じる料率が逓減していく手数料体系のことを言います。
具体的には下記のようなものになります。
取引金額が5億円までの部分・・・5%
取引金額が5億円~10億円以下の部分・・・4%
取引金額が10億円~50億円以下の部分・・・3%
取引金額が50億円~100億円以下の部分・・・2%
取引金額が100億円超の部分・・・1%
ただし、「取引金額」の定義が、以下の①②③いずれなのか、あるいは、さらに異なる定義なのか、によって手数料が2倍以上異なる可能性があるので、細心の注意が必要です。
①今回の取引対象となる株式価値(例えば60%株式相当の金額として6億円が「取引金額」)
②今回の取引対象でない部分も含めた100%株式価値(例えば60%株式相当が今回の取引だとしても、100%株式価値に相当する10億円が「取引金額」)
③移動総資産(例えば、100%株式価値が10億円だが、移動総資産が20億円の会社の場合、20億円が「取引金額」)
(注:借入金が大きい会社のM&Aや、大型のM&Aにおいては、上記の①②の株式価値を企業価値に置き換えることが多い。)
そのため報酬の具体的な金額や計算方法についても、事前に説明を受けた上で、複数のM&A仲介会社及びFA専門会社にセカンドオピニオンを聞くなど、慎重に情報収集することが重要です。
(M&A仲介会社は、経済産業省・中小企業庁のガイドラインにより、リピーターとなる買い手に経済的な便宜を図る利益相反行為を今後は禁止される流れです。しかし、どんな業界においてもリピーターとなる顧客が軽視される状況は生じにくい点も留意が必要です。)
レーマン方式の利点は、手数料が明確に計算できるため、事前に予算を立てやすい点です。
ただし、レーマン方式には注意点もあります。取引金額が小さい場合、手数料が相対的に高くなることがあるため、特に小規模なM&Aを検討している場合は注意しましょう。他の計算方法と比較することが重要です。
また、大手のM&A仲介会社を中心に、取引規模に関わらず最低成功報酬を2,500万円〜2,000万円前後としております。これは、特に、小規模な取引では手数料率が高くなることを意味します。
具体的には、取引金額が2億円の場合、M&A仲介会社は10%の手数料なら2,000万円の手数料のはずですが、大手M&A仲介会社の場合は最低成功報酬が5,000万円(買主2,500万円と売主2,500万円の合計)となります。これを手数料率に換算すると、約25%となります。仮に買主の買収予算が2億円の場合、売主の受取金額(税金考慮前)は、1.5億円になります。
M&Aの仲介手数料を安くする方法
M&Aを成功させるためには、仲介手数料・FA手数料を適切に抑えることが重要です。ここでは、手数料を安くするための具体的な方法をいくつか紹介します。
M&A仲介会社とFA会社を比較検討する
M&Aの仲介手数料・FA手数料を抑えるためには、複数の仲介会社・FA会社を比較検討することが重要です。仲介会社・FA会社によって提供するサービスや手数料の設定は大きく異なるため、慎重に選ぶことでコストを削減できる可能性があります。
まず、仲介会社・FA会社の実績や専門性を確認しましょう。特定の業界に強みを持つ仲介会社は、その業界特有の知識やネットワークを活かして、より良い条件でのM&Aを実現できることがあります。
また、過去の成功事例やクライアントの評価も参考にしましょう。
次に、手数料の構成や料金体系を比較することも欠かせません。仲介手数料・FA手数料は、成功報酬型や固定報酬型など、さまざまな形態があります。
自社のニーズに合った料金体系を選ぶことで、無駄なコストを避けることができます。
さらに、手数料の上限や追加費用についても確認し、予算内で収まるかどうかを事前に把握しておくことが大切です。
最後に、複数の仲介会社から見積もりを取得し、比較することで、より良い条件を引き出すことが可能です。見積もりをもとに交渉を行うことで、手数料をさらに抑えることができるかもしれません。
必要最低限のサービスを選ぶ
M&Aの仲介手数料を抑えるためには、必要最低限のサービスを選ぶことが重要です。多くの仲介会社・FA会社は、さまざまな付加サービスを提供していますが、すべてのサービスが必ずしも必要とは限りません。
売主として専門家の支援を受けたい場合は、「売主専属のFA」を選ぶことが合理的です。経済産業省・中小企業庁が指摘しているように、M&A仲介会社は「リピーターとなる買主を優遇する」(例:売主の売却価格を低くすることで買主から上乗せ手数料をもらう、など)の利益相反行為が指摘されています。売主の立場からすると、そうした利益相反リスクがあるM&A仲介会社にわざわざ手数料を支払う合理性が無いはずです。
特に、事業や財務が魅力的で交渉力が強い売主の場合、「売主専属のFA」と共に、買主を最大限競わせることで、M&A仲介会社の相場の売却価格と比較して平均しても1.2~1.5倍以上の売却価格を狙える事例が多くあります。また、M&A仲介会社に対しては「買主のみから手数料をとって売主からも手数料をとるような利益相反は止めてくれるなら、買主との交話し合いには応じる用意がある」と伝えることで、数千万円〜数億円単位の手数料コスト削減(もしくは、本来得られるはずだった売却価格より低く売却させられることによる損失の回避)が可能になりえます。上場している大手M&A仲介会社の事業モデルとして、リピーターである買主といかに少ない手間と時間でマッチングして最低成功報酬以上の報酬を多数得るか、という効率を競っていることは公開されいているIR資料から明白です。よって、M&A仲介会社は、買主が簡単に見つかるような売主の場合、片手取り(買主のみから手数料をもらう形)でも喜んで買主を探してくれる場合があります。
買主にとっては、特に、M&Aの経験が豊富な企業や、内部に専門知識を持つスタッフがいる場合、仲介会社・FA会社に依存する必要が少なくなります。案件を紹介さえしてくれればあとは自社で進めます、というスタンスも多いです。
例えば、デューデリジェンスやバリュエーションのサポートが必要な場合は、その部分だけを依頼することができます。
まず、自社のニーズを明確にし、どのサービスが本当に必要かを見極めることが大切です。
M&A仲介会社によっては、買主向けのパッケージプランを提供しているところもありますが、これが必ずしもコストパフォーマンスが良いとは限りません。必要なサービスを個別に選択することで、無駄な費用を省くことができるため、慎重に検討することが求められます。
事前に手数料交渉を行う
M&Aの仲介手数料・FA手数料は、取引の規模や内容によって大きく異なるため、事前に手数料交渉を行うことが重要です。多くの仲介会社は、手数料に関して柔軟な姿勢を持っており、交渉次第でコストを削減できる可能性があります。
特に、仲介手数料・FA手数料は成功報酬型であることが多く、取引が成立しなければ発生しないため、交渉相手が取引の成立の確率が高いと見込んでいる場合は交渉の余地があるのです。
交渉を行う際には、まず自社のM&Aの目的や予算を明確にし、取引の成立の確率が高いことの根拠になりそうな要素を整理・用意し、仲介会社・FA会社に対して具体的な要望を伝えることが大切です。また、他の仲介会社・FA会社からの見積もりを取得し、比較することで、より有利な条件を引き出す材料とすることができます。
これにより、仲介会社・FA会社も競争意識を持ち、手数料の引き下げに応じる可能性が高まります。
さらに、交渉の際には、仲介会社・FA会社が提供するサービス内容についても確認し、必要なサービスだけを選ぶことで、無駄なコストを削減できます。
簡易M&Aプラットフォームを利用する
簡易M&Aプラットフォームは、従来の仲介業者を介さずに、売り手と買い手が直接取引を行えます。これにより、仲介手数料を大幅に削減できる可能性があります。
簡易M&Aプラットフォームは、オンラインでの取引を前提としているため、手続きが迅速で、コストも抑えられます。多くの場合、プラットフォームの利用料金は固定制であり、成功報酬型ではないため、予算の見通しが立てやすいのも特徴です。
また、プラットフォームによっては、必要な情報を簡単に入力するだけでマッチングが行われるため、手間を省くことができます。
さらに、簡易M&Aプラットフォームは、従来の仲介業者に比べて手数料が低く設定されているため、資金に余裕がない企業でも利用しやすいのが魅力です。
ただし、簡易M&Aプラットフォームを利用する際には、注意が必要です。直接取引となるため、相手方の信頼性や取引のリスクを自分で判断しなければなりません。
小規模M&A専門の仲介会社を選ぶ
小規模M&Aを検討する際、仲介会社の選定は非常に重要です。特に、小規模な取引に特化した仲介会社・FA会社を選ぶことで、手数料を抑えつつ、より適切なサポートを受けることが可能です。
小規模M&A専門の仲介会社・FA会社は、一般的に大手の仲介会社・FA会社よりも手数料が低く設定されていることが多く、コストパフォーマンスに優れています。
また、小規模M&A専門の仲介会社・FA会社は、特定の業界や地域に精通している場合が多く、ニーズに合ったマッチングを行いやすいです。彼らは、取引の特性を理解し、迅速かつ的確なアドバイスを提供することができるため、スムーズな取引を実現する助けとなります。
さらに、小規模M&A専門の仲介会社・FA会社は、クライアントとのコミュニケーションを重視し、個別のニーズに応じたサービスを提供する傾向があります。これにより、手数料の透明性が高まり、予算に応じた柔軟なプランを提案してもらえる可能性が高いです。
このように、小規模M&A専門の仲介会社を選ぶことは、手数料を安く抑えるだけでなく、取引の成功率を高めるためにも非常に有効な戦略といえるでしょう。
M&A会社の仲介手数料を比較
M&A会社の仲介手数料・FA手数料は、会社ごとに大きく異なります。以下では、主なM&A会社の特徴や手数料体系を比較します。
M&A会社 |
主な事業モデル |
取引1件あたりの主な手数料体系 |
特徴 |
M&Aキャピタルパートナーズ |
M&A仲介 |
レーマン方式・成功報酬 主に両手取り10%など(例:買主5%、売主5%の合計) |
中小企業のM&Aに特化。地方企業や小規模案件の支援が充実している。 |
日本M&Aセンター |
M&A仲介 |
レーマン方式・成功報酬 主に両手取り10%など(例:買主5%、売主5%の合計) |
業界最大手。案件規模や業種に合わせた柔軟な対応が可能。 |
ストライク |
M&A仲介 |
レーマン方式・成功報酬 主に両手取り10%など(例:買主5%、売主5%の合計) |
中堅企業を対象とした案件が多い。仲介実績が豊富で、高い信頼性を誇る。 |
TRANBI |
マッチングのプラットフォーム |
レーマン方式・成功報酬 固定報酬方式もあり |
オンラインプラットフォーム型。手数料が比較的低く、簡単に取引を始められる。 |
M&Aクラウド |
マッチングのプラットフォームと、M&A仲介 |
レーマン方式・成功報酬 固定報酬方式もあり M&A仲介の場合は、主に両手取り10%など(例:買主5%、売主5%の合計) |
オンラインプラットフォーム型に加え、M&A仲介を強化。直接交渉型の場合はコスト削減が可能。 |
マクサス・コーポレートアドバイザリー |
FA専業 |
レーマン方式・成功報酬 片手取り5%など(例:売主5%もしくは買主5%いずれか) |
売主FA・買主FAなど実績豊富で、事業承継や上場企業向けのファイナンシャル・アドバイザリーを提供。 |
ファイナンス・プロデュース |
FA専業 |
レーマン方式・成功報酬 片手取り5%など(例:売主5%もしくは買主5%いずれか) |
売主専属FAとして、成長企業向けのフィナンシャルアドバイザリーを提供し、経営戦略の包括的サポートが強み。 |
(上記は、公開情報からの推定や主な目安を含む参考情報ですので、正確な手数料体系は各社にお問い合わせください。)
M&A会社の仲介手数料・FA手数料は、会社の規模やサービス内容によって大きく異なります。
ルシアン事件の対応などを見ていると、TVCMやDMなどを大々的に行う大手M&A会社だからといっては信頼性が高いとは決して言えず、営業や露出が少ないが専門性が高いFAや、オンラインプラットフォームや小規模仲介会社も比較することが重要です。
自社の規模やM&Aの目的に合わせて、最適な仲介会社を選びましょう。
M&Aの仲介手数料・FA手数料でよくある質問
M&Aを進める際には、仲介手数料に関する疑問が多く寄せられます。これらの疑問に対する明確な回答を知ることで、M&Aのプロセスをよりスムーズに進めることができるでしょう。
Q1:M&Aの仲介手数料・FA手数料は誰が払うのでしょうか?
M&Aの仲介手数料は売り手と買い手の双方が負担することが多いです。大手M&A仲介の例ですと、最低成功報酬が2,500万円の場合、売り手が2,500万円+買い手が2,500万円を負担します。5,000万円が取引コストとなります。FA手数料は、最低成功報酬が同じ場合、売り手もしくは買い手いずれかが2,500万円を負担することになります。
もし、売り手も買い手も別のFAを起用する場合はM&A仲介の場合と同様の費用負担となります。
この場合の違いとしては、例えば売り手にとっての手数料の対価が、「売り手専属FA」として売り手のために全力を尽くす前提のアドバイザーに支払うのか、「利益相反前提のM&A仲介」として買い手のためにも全力を尽くす前提のアドバイザーに支払うのか、という真逆のベクトルの違いがあり、誰がいくら負担するか、は同じなのに、意味合いと建て付け・経済的な立場・方的な立場が全く異なることに注意が必要です。
Q2:M&Aの仲介手数料・FA手数料の会計処理は何の勘定科目ですか?
M&Aの仲介手数料やFA手数料の処理は、M&Aの成立有無や取引内容に応じて以下のように整理できます。
ケース |
勘定科目 |
備考 |
M&Aが不成立 |
支払手数料 / 業務委託費など |
費用計上 |
株式取得 |
投資有価証券(取得原価に含む) |
取得価額に加算 |
事業譲渡 |
のれん / 固定資産 |
取得資産の原価に含める |
売却側の支払い |
支払手数料 / 営業外費用 / 特別損失 |
売却益と相殺も可 |
消費税 |
課税取引(原則) |
ただし株式取得は非課税 |
処理方法は、企業の会計方針や税務上の取り扱いによって異なることがあるため、具体的な判断は税理士や会計士とご相談ください。
Q3:M&Aの仲介手数料・FA手数料が高額であれば成功確立も高いですか?
M&Aの仲介手数料・FA手数料が高額であるからといって、必ずしも成功確率が高いわけではありません。
市場の状況や対象企業の魅力、交渉力などが成功に大きく影響するため、手数料だけで判断するのは危険です。したがって、手数料の高さと成功確率は必ずしも比例しないことを理解しておく必要があります。
なお、手数料の高さは、まず、M&A仲介会社なのか、FA会社なのか、で意味合いが全く異なります。例えば、M&A仲介会社の場合、売り手の目線からは、仮にM&A仲介会社と交渉して売り手が支払う手数料を低くしたとしても、M&A仲介会社が買い手から高い手数料を取ることで売り手にとって不利な売却価格になるのであれば、意味がありません。他方、売り手専属FAの場合、売却価格が高ければ高いほどFA手数料は大きくなるので、売り手とFAの利益は合致します。
つまり、手数料の観点だけで言えば、M&A仲介会社やFA会社と、利益が相反しているのか、合致しているのか、が成功確率に最も大きく影響します。
まとめ
M&Aの仲介手数料・FA手数料は、取引の成功に向けた重要な要素であり、適切な理解と計画が必要です。この記事では、仲介手数料・FA手数料の相場や計算方法、さらには手数料を安くするための具体的な方法について詳しく解説しました。
M&Aを成功させるためには、仲介会社・FA会社の選定やサービス内容の見直しが不可欠です。また、手数料の交渉や簡易M&Aプラットフォームの利用も、コストを抑えるための有効な手段です。
最終的には、M&Aのプロセスを通じて、適正な手数料を支払いながらも、最大限の価値を引き出すことが求められます。これらの知識を活用し、賢い選択を行うことで、より良いM&Aの実現を目指しましょう。