コンテンツまでスキップ

M&Aによるイグジットとは?IPOとの違いや失敗しないコツを紹介

 

M&Aによるイグジットとは

 

企業経営者や投資家にとって「イグジット(Exit)」は、これまで築き上げた事業や資産を売却し、利益を確定させる重要な戦略の一つです。

特にM&A(企業の合併・買収)を活用したイグジットは、短期間での現金化が可能であり、多くの経営者にとって魅力的な選択肢となります。一方で、IPO(新規株式公開)という手段もあり、それぞれに異なるメリット・デメリットが存在します。

本記事では、M&Aにおけるイグジットの基本的な仕組みや、最近注目される「2段階イグジット」について解説します。

M&Aを通じた出口戦略を検討している方は、ぜひ参考にしてください。

M&Aにおけるイグジットとは?2段階イグジットについても解説

M&Aにおけるイグジットとは、企業が他の企業に買収されることによって、自身の事業や資産を現金化し、利益を確定させるプロセスです。


経営者にとって事業の成長を促進する一方で、最終的な利益を得るための重要な手段となります。特に、M&Aは短期間での現金化が可能であり、迅速な資金調達を求める経営者にとって魅力的な選択肢です。


また、最近では「2段階イグジット」という手法も注目されています。

企業が他の企業に買収され、その後、買収した企業がさらに別の企業に売却されるという流れです。この方法により、初期の買収時には得られなかった価値を後の売却で実現することが可能になります。


2段階イグジットは、特に成長が見込まれる企業や新興企業において、より高い評価額での売却を狙う戦略として利用されています。


成長企業、特にスタートアップにとってのM&A(Mergers and Acquisitions:企業の合併・買収)における「2段階イグジット(Two-Stage Exit)」とは、創業者や投資家が企業を完全に売却するのではなく、2回に分けて段階的に売却する戦略を指します。これにより、初期のリスクを抑えつつ、最終的により大きなリターンを得る可能性を高めることができます。

2段階イグジットの基本構造

  1. 第一次売却(部分売却・経営の継続)
    • スタートアップの創業者や投資家が、企業の一部(通常は過半数未満または50%程度)を戦略的買収者やプライベート・エクイティ(PE)ファンドに売却。
    • 創業者や主要な経営陣は引き続き経営に関与し、企業のさらなる成長を目指す。
    • 買収者(PEファンドや大企業)が経営の支援を行い、企業価値を向上させる。
  2. 第二次売却(完全売却・最終的なイグジット)
    • 数年後(通常2〜5年後)、企業価値が向上した段階で、創業者や投資家が残りの株式を売却し、完全なイグジットを実現。
    • この段階では、より高い企業価値での売却が可能になり、より大きなリターンを得ることが期待される。

2段階イグジットのメリット

創業者・投資家にとってのメリット

  1. リスク分散
    • 初期段階で部分的なキャッシュアウトが可能になり、リスクを低減。
    • 企業のさらなる成長が見込める場合、最終売却時により高いリターンを得る可能性がある。
  2. 企業価値の最大化
    • PEファンドや戦略的買収者の支援を受けながら成長を続けることで、より高い企業価値を実現できる。
  3. 経営の安定性
    • 一度に100%売却するのではなく、経営の継続性を確保しながら成長戦略を遂行できる。

買収者(PEファンドや戦略的買収者)にとってのメリット

  1. 創業者の継続的なコミットメント
    • 創業者が引き続き経営に関与するため、事業の成長が促進される。
  2. 企業の成長余地を活用
    • 買収後の支援を通じて企業の価値を向上させ、将来的な売却やIPOで高いリターンを狙う。


2段階イグジットを成功させるポイント

  1. 適切なパートナー選び
    • 買収者(PEファンドや大企業)が企業の成長を支援できるかどうかを慎重に見極める。
  2. 成長戦略の明確化
    • 一次売却後の経営計画を明確にし、企業価値を最大化する戦略を策定する。
  3. 創業者・経営陣のインセンティブ設計
    • 第二次売却まで創業者や経営陣のモチベーションを維持するため、ストックオプションなどの制度を設計する。

ケース

1段階目の買主

2段階目のイグジット方法

① 事業会社が買い増す

事業会社

追加買収(100%子会社化)

② スイングバイIPO

事業会社

IPO(事業会社が支援)

③ PEファンドからのIPO/売却

PEファンド

IPO または 事業会社への売却

M&Aによるイグジットは、単なる売却にとどまらず、企業の成長戦略や市場の動向を反映した柔軟なアプローチが重要です。

M&A(会社売却)・IPO・イグジット(株売却)の違いとは?

M&A(企業の合併・買収)とIPO(新規株式公開)は、企業が成長や資金調達を目指す際に選択する主要な手段ですが、それぞれのプロセスや目的には明確な違いがあります。


サービス名

特徴

M&A

・他の企業に自社を売却して、即座に現金を得る法

IPO

・自社の株式を公開市場で販売し、投資家から資金を調達する方法

イグジット

・M&AやIPOを通じて「企業」が「投資家や経営者」にとっての出口を確保する方法


M&Aは他の企業に自社を売却することで、即座に現金を得る手法です。

一方、IPOは自社の株式を公開市場で販売し、投資家から資金を調達する方法です。IPOを選択した企業は上場後も経営を続ける必要があり、株式の価値を維持・向上させるための努力が求められます。


一方、イグジットはM&AやIPOを通じて企業が投資家や経営者にとっての出口を確保することを指します。イグジットは、企業の成長段階や市場環境に応じて選択されるべき戦略であり、M&Aによるイグジットは、迅速な現金化が可能であるため、特に短期的な利益を重視する経営者にとって魅力的です。


M&AとIPOはそれぞれ異なる特徴を持ち、企業の状況や目指す方向性によって選択が変わります。

イグジット(Exit)はM&AとIPOのどちらがおすすめか

イグジット戦略を考える際、M&AとIPOのどちらが適しているかは、企業の状況や目指すゴールによって大きく異なります。

 

サービス名

おすすめな人

M&A

短期間での現金化を重視する場合

IPO

長期的な成長を見据えた資金調達

 

M&Aは企業の合併や買収を通じて、比較的短期間で現金化が可能な手段です。特に、急成長を遂げた企業や市場での競争が激しい業界においては、M&Aによるイグジットが魅力的な選択肢となります。

買収先企業が持つリソースやネットワークを活用することで、さらなる成長が期待できる点も大きなメリットです。

一方で、IPOは企業が株式を公開し、資金調達を行う手段です。IPOを選択することで、企業の知名度が向上し、資金調達の幅が広がるという利点があります。

しかし、IPOは準備に時間がかかり、上場後も株価の変動に影響を受けるため、安定した利益確定が難しい場合もあります。

M&AとIPOのどちらを選ぶかは、企業の成長段階や市場環境、経営者の意向によって異なります。

短期間での現金化を重視する場合はM&Aが適している一方、長期的な成長を見据えた資金調達を考えるのであればIPOが有効です。

企業の状況をしっかりと分析し、最適なイグジット戦略を選択することが重要です。

M&Aでイグジットするメリット

M&Aによるイグジットには、いくつかのメリットがあります。

  • 持ち株をすべて現金化できる
  • IPOよりも短期間で完遂
  • IPOと比べてイグジットできる可能性が高い

メリットを考慮して、M&Aによるイグジットの選択肢を広げていきましょう。

IPOと異なり持ち株をすべて現金化できる

M&Aによるイグジットの大きな魅力の一つは、持ち株をすべて現金化できる点です。

IPOの場合、企業が新規株式公開を行う際には、経営者や初期投資家が持つ株式の一部を売却することが一般的です。全ての持ち株を現金化することは難しく、ロックアップ期間が設けられることも多いです。

一方、M&Aでは企業全体が買収されるため、経営者や株主は持ち株を一度に現金化することが可能です。売却後すぐに資金を手に入れることができ、次のビジネス展開や投資に迅速に移行できるのが特徴です。

現金化のスピードは、特に資金繰りが重要な中小企業にとって、大きなメリットとなります。

また、M&Aによるイグジットは、企業の価値を最大限に引き出す機会でもあります。買収先企業が持つシナジー効果を活用することで、売却価格を引き出せるため、経営者にとっては魅力的な選択肢となるでしょう。

M&Aを通じたイグジットは持ち株をすべて現金化できるだけでなく、企業の成長を促進する可能性も秘めています。

IPOよりも短期間で完遂する

M&Aによるイグジットは、プロセスが比較的短期間で完了する点が魅力です。

サービス名

必要時間

M&A

3ヶ月〜

IPO

数ヶ月〜数年

IPOは、企業が株式を公開するために多くの準備や手続きが必要であり、通常は数ヶ月から数年の時間を要します。これに対して、M&Aは売却先企業との交渉やデューデリジェンスを経て、比較的迅速に契約を締結することが可能です。

特に、M&Aのプロセスは、売却先の企業が既に存在するため、株式公開に伴う新たな投資家の獲得や市場の評価を待つ必要がありません。経営者は早期に資金を確保し、次のビジネス展開に向けた投資を行えるのがM&Aのメリットです。

M&Aによるイグジットは、迅速な現金化を実現できるため、特に急成長を目指す企業や資金調達が急務な企業にとって非常に有利な選択肢となります。

IPOと比べてイグジットできる可能性が高い

M&Aによるイグジットは、IPOと比較して成功する可能性が高いとされています。

サービス名

交渉の場

M&A

買取先企業との交渉が直接可能

IPO

市場に株式を公開するため、株式の評価や需要に依存

M&A自体が企業の売却を目的としたプロセスであるため、買収先企業との交渉を直接的に行える点が成功率が高い理由の一つです。IPOは市場に株式を公開するプロセスであり、株式の評価や需要に大きく依存するため、必ずしも成功するとは限りません。

また、IPOは企業の成長段階や市場の状況に大きく影響されるため、特に経済が不安定な時期には期待した価格での公開が難しくなることがあります。

M&Aによるイグジットは、より計画的かつ戦略的に進められるため、成功の可能性が高いと言えるでしょう。

M&Aでイグジットするデメリット

M&Aによるイグジットには多くのメリットがある一方で、いくつかのデメリットも存在します。

  1. ロックアップ期間が存在する
  2. 経営権を手放すことになる
  3. 通常業務と並行して進める必要がある

デメリットを理解し、適切に対処することが成功するイグジットの鍵となります。

ロックアップ期間が存在する

M&Aによるイグジットを選択する際には、ロックアップ期間という重要な要素を理解しておく必要があります。

ロックアップ期間とは、売却後に株式を一定期間売却できない制約のことを指します。

期間は通常、数ヶ月から数年にわたることが一般的であり、特に大規模なM&Aにおいては、売却先の企業が株価の安定を図るために設けられることが多いです。

ロックアップ期間中は売却した株式を現金化できないため、経営者や投資家にとっては流動性の制約が生じます。

また、ロックアップ期間が終了した後に株式を売却する際には、市場の状況や企業の業績に影響されるため、計画通りに利益を確定できない可能性もあります。

イグジットを検討する際には、ロックアップ期間の長さやその影響を十分に理解し、資金計画を立てることが重要です。

経営権を手放すことになる

M&Aによるイグジットは、経営権を手放すことになる点もデメリットの一つです。

企業を売却する際、経営者は企業の意思決定権を失い、売却先の企業や投資家に経営を委ねることになります。経営者としてのビジョンや戦略を直接実行できなくなるため、特に長期的な成長を目指している場合は大きな痛手となることでしょう。

また、経営権を手放すことで、企業文化や経営方針が変わる可能性もあります。企業のアイデンティティが損なわれるリスクも考慮しなければなりません。

M&Aによるイグジットは短期的な利益を得る一方で、経営者にとっては長期的な視点での影響を考慮する必要があるのです。

通常業務と並行して進める必要がある

M&Aによるイグジットを成功させるためには、通常業務と並行して進める必要があります。企業の売却プロセスは長期間かかることが多く、経営者や従業員が日常業務に加えて、売却活動にも注力しなければならないためです。

特に、M&Aのプロセスは複雑で、多くのステップを経る必要があります。買収候補の選定、デューデリジェンス(企業調査)、契約交渉などが含まれます。

経営者は売却活動を円滑に進めるためのチームを編成し、業務の分担を行うことが重要です。また、外部の専門家やコンサルタントを活用することで業務負担を軽減し、より効果的にM&Aプロセスを進めるなどの対応を取るのがいいでしょう。

経営者は常に市場の動向を把握し、適切なタイミングでのイグジットを目指す必要があります。

 

M&Aによるイグジットを失敗させないコツ

M&Aによるイグジットを成功させるためには、いくつかの重要なポイントを押さえておくのが重要です。

  1. 最初から出口戦略を考えておく
  2. 売却先に適したビジネスモデルや財務状況を構築する
  3. M&Aの専門家に相談する

ポイントを意識することで、M&Aによるイグジットを成功に導くことができるでしょう。

最初から出口戦略を考えておく

M&Aによるイグジットを成功させるためには、最初から明確な出口戦略を持つことが不可欠です。

企業の成長段階においてどのタイミングで、どのような形でイグジットを行うかを計画することで、よりスムーズな売却プロセスを実現できます。出口戦略は単に売却の方法を決めるだけでなく、企業のビジョンや目標に基づいた長期的な計画を含むべきです。

具体的には、事業の成長段階や市場環境を考慮し、M&Aを選択する理由や期待する成果を明確にすることが重要です。また、売却先の企業文化やビジネスモデルとの相性を考え、適切な買い手を見つけるための準備も必要です。

イグジットを視野に入れた経営戦略を立てることは、成功するM&Aの鍵となるでしょう。

売却先に適したビジネスモデルや財務状況を構築する

M&Aによるイグジットを成功させるためには、売却先に適したビジネスモデルや財務状況を構築することが不可欠です。

ビジネスモデルについては売却先が求める価値を理解し、応じたモデルを整えることが重要です。例えば、成長性の高い市場における競争優位性を持つビジネスや安定した収益を生むサブスクリプションモデルなどは、買収候補者にとって魅力的です。

次に、財務状況の整備も欠かせません。透明性のある財務諸表を用意し、過去数年分の業績データを整理しておくことで、買収候補者に対して信頼性を示せます。キャッシュフローの健全性や負債の管理状況も重要なポイントです。

事前準備を通じて、売却先にとっての価値を最大化し、M&Aによるイグジットを成功に導けるでしょう。

M&Aの専門家に相談する

M&Aによるイグジットを成功させるためには、専門家の助けを借りることがおすすめです。M&Aのプロセスは複雑であり、法律や財務、戦略的な視点からの知識が重要です。

M&Aの専門家は市場の動向や業界のトレンドを把握しており、売却先の選定や交渉において有利な条件を引き出す手助けをしてくれます。適切な評価を行いつつ、企業の価値を最大限に引き出すための戦略を立てられるでしょう。

M&Aによるイグジットを考える際には、専門家に相談することが成功への第一歩です。信頼できる専門家を見つけ、しっかりとしたサポートを受けることで、スムーズなイグジットを実現しましょう。

M&Aのイグジットでよくある質問 

M&Aによるイグジットに関しては、多くの経営者や投資家が疑問を抱くことがあります。

  1. イグジットするならばM&Aがおすすめ?
  2. イグジットとは株を売ること?
  3. イグジットの種類はM&AとIPOの2つ?

イグジットの選択肢やプロセスについての疑問を解消することで、よりスムーズな意思決定ができるようになるでしょう。

Q1:イグジットするならばM&Aがおすすめですか?

M&Aによるイグジットは、多くの企業にとって魅力的な選択肢です。

特に、迅速な現金化が可能であるため、資金繰りの改善や新たな投資機会の創出に役立ちます。また、M&Aは市場環境に左右されにくく、企業の成長戦略としても有効です。

しかし、企業の状況や目指すゴールによってはIPOの方が適している場合もあるため、慎重な判断が求められます。

Q2:イグジットとは株を売ることですか?

イグジットとは企業経営者や投資家が保有する事業や株式を売却し、利益を確定させるプロセスです。

具体的には、M&AやIPOを通じて行われることが一般的です。したがって、イグジットは単に株を売ることだけでなく、事業全体の売却や資産の現金化を含む広い概念です。

Q3:イグジットの種類はM&AとIPOの2つですか?

イグジットの手段として一般的に知られているのは、M&AとIPOの2つです。

M&Aは企業の合併や買収を通じて事業を売却し、現金化する方法であり、迅速な資金確保が可能です。

一方、IPOは新規株式公開を通じて株式を市場に上場し、資金を調達する手段です。それぞれ異なる特性を持つため、企業の状況や目的に応じて選択するのがいいでしょう。

まとめ

M&Aによるイグジットは、企業経営者や投資家にとって非常に重要な戦略であり、適切に活用することで大きな利益を得ることが可能です。

本記事では、M&Aの基本的な仕組みや、2段階イグジットの概念、M&AとIPOの違いについて詳しく解説しました。情報を基に、自身のビジネスに最適な出口戦略を検討し、成功に向けた一歩を踏み出していただければと思います。

M&Aを通じたイグジットを考えている方は、ぜひこれらのポイントを参考にし、スムーズな実現を目指してください。