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本書の概要

株式会社ファイナンス・プロデュース共同創業者・松井克成の初の著書です(ダイヤモンド社、2026年7月1日発売)。起業家・CFO・VCなどスタートアップ関係者に向けた、スタートアップM&Aの入門書です。

M&Aの書籍は買い手視点で書かれたものが多く、大企業同士や中小企業の事業承継型のM&Aを前提にしたものがほとんどです。本書はスタートアップのM&Aを前提としており、特に、売り手・起業家の視点に立ち、IPOと並ぶ選択肢としてM&Aをどう位置づけ、どう準備し、どう交渉するかを、実務の最新の現場の経験・視点で解説しています。また、買い手となる大企業や新興上場企業、海外企業やPEファンド等の視点でも、自社の新規事業や成長分野への取り組みにどのように活かせるのか、という点も解説しています。

 


なぜ2026年にこの本が必要になったのか

2025年4月、東京証券取引所はグロース市場の新たな上場維持基準案を公表しました。上場から5年で株式時価総額100億円に達しない企業を上場廃止にするという内容です。これを受けてスタートアップ・VC・証券会社の間では、小規模IPOを急ぐことの見直しが進み、大規模IPOに向けた成長加速とIPO時期の延期、買収戦略の検討、M&Aによる買収/売却、VC持分のセカンダリー譲渡といった対応が検討されるようになりました。

2025年2月頃から、IPO準備が順調で業績も堅調なスタートアップの起業家・CFO・VCからM&Aの相談が顕著に増えています。水面下で起きているこの動きに、実務の手順で答えるための本です。

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この本が生まれた背景

著者の一貫した課題意識は、日本のスタートアップ業界の発展におけるボトルネックが「スタートアップM&Aの規模化と質の向上」にあるという点にあります。ベンチャーキャピタル時代からこの問題を認識し、その後100件以上のプロジェクトに携わってきた経験を、一冊にまとめたものが本書です。

出版のきっかけは、東大発のAIスタートアップとして創業から3年ほどで上場した株式会社JDSC創業者の加藤エルテス聡志氏からの勧めでした。株式会社JDSCは、2022年10月に株式会社ファイナンス・プロデュースに出資し、出資後の支援の過程という背景でした。多忙な現場業務のなかで執筆は長く停滞しましたが、周囲のサポートもあり完成に至っています。

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本書の記述は、それぞれ実際のプロジェクト経験と紐づけて書かれています。読者として想定しているのは、起業家、CFO、ベンチャーキャピタル、そして買い手となる大企業まで、より大きな事業創造と事業リターンを求める関係者全体です。

特徴は「売り手視点・起業家視点」に立っていることです。M&A後の起業家の姿は一つではありません。経営を続ける人、共同経営に移る人、再び起業する人がいます。本書はその多様さを前提に書かれています。執筆の背景と経緯は、noteの記事「書籍『起業家のためのスタートアップM&A入門〜企業価値を最大化するもう1つの方法〜』の舞台裏」(2026年6月18日公開)でも詳しく述べています。

本書が伝えたい3つのポイント

1. 

スタートアップM&Aの規模化と質の向上は、日本のスタートアップ・VC業界の持続的発展の分水嶺になる

2.

IPOもM&Aも、価値最大化の交渉要素のひとつとしてスタートアップBATNA(いざとなったら別の選択肢がある状態で意思決定をすること)を持っていることが重要

3.

スタートアップM&Aを成功させるために重要なのは、常日頃の準備とインテリジェンス、いざというときの胆力、最後に運である

 

こんな問いにお答えします

  • M&Aは「身売り」なのか → 第一章:よくある10の誤解・偏見の1つ目

  • IPOができないときに考えるのがM&Aなのか → 同章の誤解2。第二章でIPOとM&Aを11項目で比較

  • M&Aの後は上場を目指せないのか → 同章の誤解7。第三章でスイングバイIPO等の手法を解説

  • ダウンラウンドでのM&Aだと、VC等の投資家の元本は必ず毀損するのか → 同章の誤解9

  • 優先株式があるとM&Aの分配はどうなるのか → 第四章:優先株式のバリュエーション、参加型と非参加型の違い、パリパス・スタック

  • FAはどう選ぶのか → 第四章7「FA選定」、コラム「スタートアップM&Aと未上場企業M&Aの違い」

  • スタートアップM&Aの相場はどのくらいか → 第四章コラム「スタートアップM&Aのホンモノの相場」

  • なぜ「売り手視点」の本なのか → M&Aの書籍は買い手視点のものが多く、事業承継型のM&Aを前提にしたものがほとんどです。スタートアップの売り手には、買い手とも事業承継型とも異なる論点(優先株式の分配、ストックオプションの扱い、経営陣の続投、ロックアップ)があります


目次

  • 序章 日本に「スタートアップM&A」の入門書が必要になったわけ
    水面下の動き/東証グロース市場の積年の課題/東証グロース市場が積年の課題に対する対策案を提示/スタートアップ・VC・大手証券会社の関係者への波紋/本質的な事業成長のためのファイナンスの議論が活性化/日本に必要な「スタートアップM&Aの規模化と質の向上」/本書で伝えたいこと/スタートアップの定義と本書の前提/スタートアップM&Aと通常のM&Aの違いは何か
  • 第一章 日本におけるスタートアップM&Aの現状と10の誤解・偏見
    日本におけるスタートアップM&Aの現状/よくある10の誤解・偏見(1「M&A=身売り」/2「M&AはIPOができない場合に考えればいい」/3「M&Aは夢が途絶える」/4「M&Aを選択する起業家は金の亡者」/5「大企業には関係ない」/6「M&A後は失敗ばかり、減損ばかり」/7「M&A後は上場を目指せない」/8「日本のVCはスタートアップM&Aについて、IPOと同じくらい知り尽くしている」/9「ダウンラウンドでのM&Aだと、過去のVC等の投資家の元本は必ず毀損する」/10「M&Aは起業家にとって、常にEXITである」)
  • 第二章 今、スタートアップM&Aに注目すべき理由
    事例増加による関心の高まり/「入口」のさらなる活性化/IPOに偏り「狭き門」となっている出口へのニーズ/米国ではGAFAM成長と時を同じくしてM&A主流の流れができた/日本のスタートアップ・エコシステムの循環タイミング/ソリッドベンチャーの成長/日本のスタートアップIPOの効果測定が一巡(ユーザベースのM&A売却による非公開化/IPOとM&Aの比較表=資金調達・信頼度と知名度・人材採用・株主の数とタイプ・現経営陣の続投・実行と維持のコスト・株式の時価総額・未上場時の投資家の出口・創業者や経営陣の株式・従業員のストックオプション・敵対的買収やアクティビストによる投資の11項目)
  • 第三章 日本のスタートアップM&Aの課題と解決策の方向性
    課題は「規模」と「質」/規模化と質の向上を実現する4つの工夫(デュアルトラックを取り入れる/買い手を多様化する/買収手法を多様化する=ステップアップ買収・アーンアウト・スイングバイIPO・株式交換・株式交付・SPAC/常日頃の準備とインテリジェンスを欠かさず、いざというときの胆力と最後の運を信じる)/規模化と質の向上の重要性を示唆するM&A事例/時価総額400億円超だったスタートアップが0円売却となった事例からの学び/買い手から見たスタートアップM&A(買い手側の意義と懸念、成功確率を上げる工夫=当事者意識・インテリジェンス・組織設計)
  • 第四章 スタートアップM&Aのプロセス(主に売り手目線)
    ①方針検討と準備(コラム:スタートアップM&Aのホンモノの相場/資本政策・デュアルトラック検討/優先株式のバリュエーションとスタートアップM&A/コラム:参加型vs非参加型 優先株式の違い/コラム:「パリパス・スタック」「参加・非参加」の違い/デュアルトラックの検討/創業者・経営陣中心の検討・合意=M&A検討チェックシート/SOなどの取り扱い/コラム:SO以外の選択肢「譲渡予約権」とは/主要株主との検討・合意=株主交渉のポイント/FA選定/コラム:スタートアップM&Aと未上場企業M&Aの違い/FAによるセルサイドDD・成長ストーリー推敲と初期バリュエーション/Teaser・IM・Process Letter作成/買い手候補リスト作成と優先順位付け)
    ②初期打診〜NDA締結 ③1次選考:初期DD〜LOI受領 ④正式DD(財務・税務・法務等)とPMI計画協議 ⑤2次選考・最終契約書締結 ⑥クロージングとPMI開始(PMIとのれんとの付き合い方/売却から2年後/産業別のM&A動向/創業者・経営陣/CXOのキャリア/ロックアップ期間中及び終了後)
  • 第五章 スタートアップM&Aのプロセス(主に買い手目線)
    ①方針検討と準備(M&A全体戦略とその中でのスタートアップM&A戦略/買収候補リスト作成と優先順位付け/打診といち早く声がかかる関係構築)
    ②初期打診の受領〜NDA締結 ③1次選考:初期DD〜LOI提出(初期DD/バリュエーション=マーケット・インカム・コストの各アプローチ/バリュエーションのギャップ/意向表明書・タームシート・基本合意書の違いと実務での使い分け) ④正式DDとPMI準備(財務DD・税務DD・法務DD) ⑤2次選考:最終契約書締結(主な内容と留意点/スタートアップと大企業間のM&Aで特に留意すべき点) ⑥クロージングとPMI開始(Day 1の準備/PMIの主な目的/大企業がスタートアップを買収する際に留意すべきPMIのポイント)
  • おわりに

書籍情報

書名

起業家のためのスタートアップM&A入門 ── 企業価値を最大化するもう1つの方法

著者

松井克成(株式会社ファイナンス・プロデュース 代表取締役/共同創業者)

出版社

ダイヤモンド社

発売日

2026年7月1日

ISBN

978-4-478-11893-1

実績

Amazon.co.jp「CI・M&A」カテゴリ 売れ筋ランキング1位(2026年8月24日 当社発表)

 

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