【事例】上場後の資本政策・PIPEs資金調達等についての舞台裏〜クックビズ編〜(22年10月)
株式会社ファイナンス・プロデュース(以下、FIP)は、クックビズ株式会社(以下、クックビズ社)の上場後の資本政策及びPIPEs資金調達(注1)、食にまつわる事業再生M&Aに関するセカンド・オピニオンを、ファイナンシャル・アドバイザー(FA)として助言しました。
(筆者注)本記事では、既に公開された情報をもとに、FA視点で舞台裏の一端を、あくまで色々ある視点の中の一つの第三者視点として書きます。
コロナの影響が続く21年1月頃から、約1年半以上のプロジェクトを経て、クックビズ社の経営陣や従業員による業績向上やIRへの尽力と創意工夫の結果として、クックビズ社が目標とするエクイティ資金調達(5億円弱)を実現し、かつ、株価はプロジェクト開始日と完了日の比較で約1.6倍の上昇となりました。
一般論として、上場企業がエクイティ資金調達をすると、希薄化に伴い株価が下がることが多いため、これはクックビズ社の経営判断・経営努力による素晴らしい結果と考えております。
クックビズ社のファイナンスについての経営上の意思決定のハイライトとしては、FA視点では下記だったと考えております。
コロナ前に売上増加に伴い膨らんでいたコストをコロナ禍で見直し、痛みも伴う筋肉質な事業体質への変革を断行し、調達資金は事業存続ではなく成長投資に使える状態を準備 弊社及び投資家候補と資本政策・資金調達について様々な選択肢を念頭に置きながら議論を重ね、自社の置かれた状況や選択肢の客観的な理解を深めた 自社や自社を取り巻く状況に適した資金調達手法として、事業会社との資本業務提携と固定型ワラント(注2)発行という、多くの外資系証券会社や国内大手証券会社が中小規模の上場企業に提案するMS型ワラント(注2)発行とは異なる手法を選択した 固定型ワラント発行後の約1年間に渡り、逆風な時も順風な時も忍耐強く業績向上だけでなくIRへの取り組みを強化し、有言実行を徹底 有言実行の一つとして、実際に食にまつわる事業再生M&Aも第一号を実行(下記リンクはその記者会見の様子)
弊社の助言内容としては、上場後にコロナ禍の飲食業界の低迷、という壁に直面した状態において、以下のようなテーマ等について、週次の定例会議等を通じて、藪ノ社長や餌取執行役員と議論や壁打ちを続けました。
- 資本政策の立案
- 投資家候補の抽出や比較検討
- 持続可能な飲食ビジネスに係るDXの共創をテーマとした株式会社スカラとの資本業務提携
- 固定ワラントの発行による累計5億円弱(4.89億円)の資金調達
- 調達資金の使途の一部である食にまつわる事業再生M&Aに関するセカンド・オピニオン
特にプロジェクトの後半にワラント行使のペースが鈍った心理的に苦しい時期においては、餌取執行役員を中心に考案して繰り出す様々なファイナンスやIRに関する打ち手について、効果がすぐに出ない場合でも、客観的視点での正しさの確認や成功確度を上げるための微調整等を、壁打ちさせて頂く局面が多かったです。
すぐに正解か否かがわからない意思決定を日々迫られる経営陣は、自分の正しさへの思い込みが強くなり臨機応変に対応できなかったり、逆に自分の意思決定が不安になってブレてしまったり、というリスクを常に背負いますが、クックビズ社の藪ノ社長や餌取執行役員は、主観的な事業へのブレない信念や情熱はもちろんのこと、弊社に限らず第三者の意見を常に積極的に求めて自分達を客観視しようとする姿勢が要所要所で感じられ、それを前向きな行動の積み重ねと結果に繋げており、敬服です。
最後に、シリーズB以降等のスタートアップ向けのファイナンス助言(スタートアップM&Aや大型IPOに向けた資本政策・資金調達の助言)を専門とするファイナンス・プロデュースが、上場企業の上場後の資本政策やPIPEs資金調達などのご相談にも応じる理由としては、1千億円以上の事業創造に挑戦するスタートアップ・起業家のファイナンスをプロデュースする、という弊社のビジョンに基づくものです。
このコンセプトにおいては、上場前か上場後かは関係ありません。とはいえ、シリーズB以降等のスタートアップの場合も上場企業の場合も、いずれも様々な理由でお役に立てそうにない場合もあり、そうした場合はお断りするケースもあります。
事業を次の成長ステージに進めるM&Aを助言するFIP
スタートアップM&A等の資本政策の助言業務を中心とし、スタートアップ・起業家向けに「成長のためのグロースM&A」を支援している弊社ですが、今回の案件を経て、改めてスタートアップだけではない、成長を目指す中小企業にとっての「成長のためのグロースM&A」において、FAへのニーズがあることをあらためて実感しました。今後とも貢献できることがあれば、微力ながらお力になれれば幸いです。
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